学校で「\(\sqrt{2}\) は無理数」だと学習したと思います。これは実は、古代ギリシャの時代から知られていた有名な事実です。
でも、「なぜ無理数なの?」と聞かれると、答えに困ってしまう人も多いのではないでしょうか。
この記事では、\(\sqrt{2}\) が無理数であることを「背理法」で証明する方法を、紹介していきます!
そもそも「無理数」とは
「無理数」とは
「分数で表せない数」のことです。(「分数で表せる数」を有理数といいます。)
つまり、「整数 \(a\),\(b\)(\(b \ne 0\))を用いて、分数 \(\displaystyle \frac{a}{b}\) の形で表せない数」のことをいいます。
\(\sqrt{2}\) が無理数であることは、
どんな整数 \(a\),\(b\)(\(b \ne 0\))を使っても、
\(\sqrt{2}=\displaystyle \frac{a}{b}\)
となる分数は存在しない、ということを「背理法」を使って証明します。
「背理法」ってなに?
「背理法」とは
「もし◯◯だと仮定したら、矛盾が起きた。だから◯◯は間違い!」
という考え方です。
たとえば、「\(\sqrt{2}\) は分数で表せる(有理数だ)」と仮定して、その仮定からおかしなことが起きたら、「やっぱり \(\sqrt{2}\) は無理数だったんだ!」と結論づけるわけです。
\(\sqrt{2}\) が無理数であることの証明
では、さっそく証明していきましょう。
ステップ①:仮定してみる
まずは、\(\sqrt{2}\) が「有理数」だと仮定します。
つまり、ある整数 \(a\),\(b\)(\(b \ne 0\))を使って
\(\sqrt{2}=\displaystyle \frac{a}{b}\)
と表せると仮定します。
ここで、\(a\) と \(b\) は互いに素(最大公約数が1)とします。
これ以上約分できない分数にしておく、というのがポイントです。
ステップ②:両辺を2乗する
両辺に \(b\) をかけます。
\(\sqrt{2}b=a\)
両辺を2乗します。
\(2b^2=a^2\)
この式から分かることは・・・?
ステップ③:\(a^2\) は偶数→ \(a\) も偶数
この式から、\(a^2\) は \(2b^2\) と表されるので、偶数ですね。
偶数の2乗 → 元の数も偶数
なので、 \(a\) も偶数です。
よって、\(a=2k\)(\(k\) は整数)と表すことができます。
ステップ④:\(a=2k\) を代入してみる
式 \(2b^2=a^2\) に \(a=2k\) を代入すると
\(\begin{aligned}
2b^2 &= (2k)^2 \\
2b^2 &= 4k^2 \\
b^2 &= 2k^2
\end{aligned}\)
今度は、\(b^2\) が偶数となりました。
つまり、\(b^2\) は偶数 → \(b\) も偶数 です。
ステップ⑤:\(a\) も \(b\) も偶数になってしまった!
ここでおかしなことが起きました。
\(a\) も \(b\) も偶数 ということは、\(\displaystyle \frac{a}{b}\) が約分できてしまいます。
これは、最初の仮定の これ以上約分できない分数にしておいたことに矛盾します。
結論:\(\sqrt{2}\) は無理数!
最初に「\(\sqrt{2}\) は分数で表せる」と仮定したら、矛盾が起きました。
つまり、その仮定が間違いだったことになります。
よって、
\(\sqrt{2}\) は分数で表せない = 無理数である
と証明できました!
補足:他にも無理数はある!
この証明は、\(\sqrt{2}\) だけでなく
\(\sqrt{3}\) や \(\sqrt{5}\) 、 \(\sqrt{7}\) などについても、同じような方法で証明できます。
ただし、\(\sqrt{4}=2\) のように整数になる場合は、有理数ですね!
まとめ
● \(\sqrt{2}\) は無理数であることを、「背理法」で証明できる。
● 背理法は「仮定 → 矛盾 → 仮定が誤り」という流れ。
● \(\sqrt{2}=\displaystyle \frac{a}{b}\) と仮定すると、\(a\) も \(b\) も偶数になり、矛盾が生じる。
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